■回想法とは
回想法は2000年頃から普及された認知症予防・介護予防の技術です。昔の記憶を引き出す技術ですが、ただ昔話をしても回想法にはなりません。
その人自身の楽しかった時期の記憶を楽しくおしゃべりすることが回想法です。
■回想法の歴史
1960年代アメリカの精神科医ロバート・バトラー博士が回想法(レミニセンス)を提唱しました。
1970年代に認知症高齢者への対応技術が発展。1980年代になると「死」への受容手段として研究が進み1990年代には回想法の対象が拡大しました。
日本では2000年代に施設レクリエーションとして紹介され、2013年日本回想療法学会の学会発表により回想法は大きく発展充実し、理論と実践技術が明確となりました。
■回想法の目的
楽しいおしゃべりで脳への“快”の刺激によりポジティブな感情や記憶を引き出して10歳~15歳の記憶を維持することでADL(日常生活動作)の低下を抑制することができます。
■回想法の効果
10歳~15歳の頃を思い出すと認知症予防や進行抑制さらに回復が期待できます。
それは10歳~15歳の記憶の中にADLを司る記憶もいっしょに存在しているからです。
10歳~15歳の記憶が消えるとADLの記憶も消えてしまうのです。
つまり10歳~15歳の頃の記憶を維持することでADLが維持されるのです。
■回想法のメカニズム
記憶は右脳で映像イメージ蓄積され、その情報を左脳に送ることで言語化されます。
ですから記憶している映像を再度呼び起こすには五感を使って大脳へ刺激を与えるのがポイントです。
心療回想法では「快の起動・プロンプト」と呼び、子どもの頃を思い出しやすい「1H話法」によるインタビューを行います。
■回想法の対象
回想法は認知症の予防と治療にも適用されます。
軽度認知症高齢者、抑うつ状態の患者、老人性うつ病の患者、気分障害・対人不安の患者、デスカウンセリング(死の受容)への導き、自己肯定と癒しへの応用など幅広い対象を持っています。